無能な女子中学生が追憶をダメにする

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それでも僕は追憶を選ぶ

2017年3月9日。 この日は嫁さんの7回目の抗がん剤治療が始まる日。 今月頭に行われたCT検査の結果では、転移している肝臓の腫瘍が、少しだけ小さくなっていた事から、今の治療は効果があるとみなされたため、継続する事になった。  でもあれだけ苦しい思いをした3カ月の成果があんなものとは。。 特に食事療法は、もう限界寸前だった。味のない食事など舌の肥えた現代人が続けられる訳がない。  でも辞めたらどうなる?食事療法をしているからこれだけの状態で済んでるのでは?と思うと怖くてなかなか辞められない。   抗がん剤は今使っているもの以外にもあるから、もし効果が無くなっても次の薬がある。 その次の薬もある。 でも所詮それは片手で数えられるくらいのもの。 そして奏功率といわれる、癌が縮小する確率の数字は、1種類目、2種類目と重ねる内に、急激に低下する。  やはり抗がん剤は所詮ほとんどのケースにおいては、延命処置なのだ。 でも嫁さんはまだこの時32歳。子供も二人小さいから。治療を頑張って長く生きられたね。良かったね。では済まされない。  CT検査の後、私は必死で新たな治療方法を探した。 第4の癌治療と言われる免疫療法は最後の切り札と考えていた。 なにしろ治療費が数百万にのぼる。いずれ彼女の身に危険が差し迫った時に、藁にもすがりたくなった時に考えたいと思っていた。 その考え方は大きな間違いだったのだが。。  とにかくこの時は、免疫療法以外という条件で、色々と探した。そこで見つけたのが、 ハイパーサーミア と言われる治療法だった。つまり温熱療法と言われるものだ。  治療の前日。治療開始に向けた血液検査と、次に選択される予定の抗がん剤「イリノテカン」の感受性テストのため、病院を訪れていた。 ちなみに感受性テストとは、この薬を使った場合の副作用リスクを事前に調べておく、といったもの。 副作用の度合いを事前に調べたられるのは、確かに有難い事だけど。 どれくらい効果があるか。 を事前に調べられる時代だったらなぁとこの時に思った。  そしてハイパーサーミアの治療について主治医にも相談しておきたかった。 温熱療法は正直なところ今の流行りの治療法では決してない。でもそのロジックは明解。 癌細胞は高熱に弱い。人間が自分で高熱になれる範囲、たとえば40度くらいでは癌細胞は死なないが、42度程度だと死ぬ可能性が高まるらしい。 実際に癌患者がインフルエンザで高熱を出した後、癌細胞が消滅していた、という例もあるらしい。 その癌細胞の性質を利用して、専用の機械を使い、癌細胞が存在する場所にピンポイントで熱を与えるという治療方法だ。  とにかくこの分かりやすい治療方法は、私達にとって大いに魅力を感じた。  主治医の先生は、温熱療法は詳しくなかった。でも標準治療を第一に考えつつも、患者の望む治療をしてあげたいと考えてくれる人だったから、快く紹介状を書いてくれた。 通う病院がもう一つ増える。  抗がん剤治療は継続する。 でもそれだけではいずれ負けるのは必至。  新たな治療ハイパーサーミア。 必死で考えて選んだもの。新たな治療への期待と、全力を尽くしている、という気持ちから、少し心が前向きになっていた。  手に掴んでいるもの。 それは明るい未来か。それとも雲か藁か。  また答えを知らない時期だった。    ~~~~~~~~~~~~~~~~子育て奮闘記も書いてます。コチラ。さっさんのふんばる子育て記 別館~~~~~~~~~~~~~~~~ 

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