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追憶 革新が、今、確信になる

2016年11月24日。妻の手術が終わった。
私は病室でひたすら待っていた。
外は54年ぶりの大雪で東京の街が真っ白になっていたが、私の頭の中は色んな想像でぐちゃぐちゃと掻き回されていた。
腹腔鏡で済むだろうか?播種が広がっていたらどうしよう?後ろ向きな気持ち。
早く抗がん剤治療を開始したい!肝臓の転移癌も小さくして切除したい!前のめりな気持ち。
手術が終わった事を告げられた瞬間に全て吹き飛んだ。
妻は集中治療室で安静にしているという。
執刀医に声をかけられた。手術の結果説明をするとの事だ。
緊張で心臓がバクバクする。。

まず、手術は成功。
臓器間の癒着もなく、腹腔鏡にて最後まで予定していた、上行結腸部の切除と小腸との縫合が出来たという。
そして、腹膜も確認したが、目視で確認できるレベルの播種は見受けられなかったとの事。
切除された部分を見せてもらった。確かに腫れ上がった部分があり、広がっていたが思ったより大きくなかった。
そして少し生臭さを感じた。
これが妻の命を奪う事になる元凶。
まだ32歳。何でこんな物が出来てしまうのか。。

でもとにかく!
手術は成功した。懸念していた事象も発生せず。100点の結果だった。
集中治療室で横になる妻に会いに行った。
意識は戻っていて少し会話が出来た。
「結果は聞いた?」「うん。」「成功したって。播種も無かったって。本当に良かったな!」「うん。」「痛みは?」「無いよ。麻酔がまだ効いてる。」
とにかく良かった。
どうやら身体を動かしてはいけないらしく、じっとしている体制が辛いとの事。
そして。。暇が一番辛いと
余裕をぶっこく妻の姿に心から安堵した。
まずは一区切り。本当の闘いはこれからだから。

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2016年11月21日。
手術まであと3日。

入院して1週間が経過したが、意外とその間は、自分も妻も穏やかな気持ちで過ごしていた気がする。

特に妻は、7月に出産したあとずっーと体調が悪かったから、その原因が分かったのと、入院中に点滴などの対応で体調がかなり改善されたので楽になったのだろう。

さらに、そんな中で3歳児と乳児の子育てをしていたのだから、そのストレスは尋常じゃなかったろう。そのから解放されたのが、一番大きかったかもしれない。
かなり暇を持て余し、本やDVDを沢山差し入れして、病室で一緒に見たりして過ごした記憶がある。
先の不安は消えずとも、心の奥に一旦追いやって、束の間の平穏な時間を過ごした。
そんな中、妻の手術内容について担当医から詳細説明を頂いた。

T先生は、この後主治医となるY先生とは研修医時代の同期との事だった。
お互いに信頼できる先生だと言っていたのが印象深い。

このような絵を説明の際に描いてもらった。
原発巣は上行結腸とされているが、ほぼ盲腸に近い所にあり、盲腸癌と言っても良いくらいらしい。

術式としては開腹ではなく、腹腔鏡でまずはトライし、盲腸から上行結腸を全て切除し、横行結腸の左端と小腸の出口を繋ぐ。
ただし、臓器間の癒着などがあれば、開腹に移行するとの事。
腹腔鏡で出来るのは願ってもなく嬉しい事!
彼女にこれ以上辛い思いをさせたくない。
何も無い事を祈った。
あとは腹膜への転移も気になったが、これはお腹を開けてみないと分からないとの事で、術中に確認すると言っていた。

他に手術中のリスクや合併症の事を詳しく説明してくれた。これは起きない事を祈るしかない。

手術。

こればかりは、素人が逆立ちしても大腸癌治療ガイドラインを読み込んでも何も出来ない。T先生に全てをお願いした。

そして。
念頭として言われたこと。
「この手術で彼女の命が助かる訳ではありません。あくまで暫定的な対処である事はご理解下さい。」
分かってますよ。そんな事は。。

とにかく。
前に進むしかなかった。

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